ディーバ

2005年7月29日 映画
 この映画は私にとって一番思い出深い映画である。初めて劇場で見たフランス映画であり、映画にのめり込むきっかけとなった作品である。 当時高校生だった私が、この映画を見にいった経緯は思い出せないが、たしか友人に誘われたのだと思う。極東の港町に住んでいた私が、フランスという海の向こうの遠い文化に触れ、なんてすばらしい世界があるのかと感動した作品である。思えば、その少し前から、自己否定の延長として、海外志向が強くなった私は、20世紀の世界文学を貪るように読み、海外への旅立ちを夢見ていた。カミュ、サルトルに始まり、グラス、ゴールディングを経て、遠くマルケス、ボルヘスへ飛んでみたり。そんな少し厭世気味だった私に、喜怒哀楽の仕方を教えてくれたのが、この映画だ。頭でっかちだった僕が、現実を生きる喜びに目覚めたのだ。現実からの逃避ではなく現実に向き合うようになった私は綿密な親元脱出計画を練り、晴れて大学生から東京で独り暮らしを始めた。東京に出てきてから最初に出来た彼女とは、この映画が好きなことで意気投合し、それがきっかけで付き合うようになったのだ。

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