イングマール・ベルイマンが死んだ
彼の評価を決めることとなる50年から60年代にかけて撮られた一連の作品を観ていない。唯一観たのが、5時間におよぶ大作「ファニーとアレクサンドル」である。この作品の印象が強いため、彼の名前は僕の中でずっと留まっていた
知りあいから、著名な監督さんの5時間の映画を見に行かないかと誘われたのは、もう20年も前の話。上映時間が5時間という話題が先行していたのを憶えている
暇だけはいくらでもあった学生の身分、断る理由もなく岩波ホールへ
途中休憩をはさむため、そのとき口にする軽食に何を持って行こうかと悩んだ
選んだのは、たしかあんパンだったような
映画の内容はあまり憶えてないのに、つまらないことだけは残るものである

そして、美しく残酷な映画だったという怪しい記憶と彼の名前とあんパンが、僕の中に残された
合掌

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