石山の街を出て瀬田川沿いに進み、途中幾度か川筋を変えながら甲賀の山へ分け入ってゆくこと一時間、美術館への案内板が増えてくる。地図を見れば、川の右手に宗教法人の本部が、左手に美術館があるようだが、こんもりとした森に囲まれていてバス道からその建物をうかがうことはできない。宗教団体が所有する自然農園を横目に見ながら、美術館への道を入って行くと、レストランとチケット売り場が入ったレセプション棟が現れる、一階建てのこじんまりとした建物だ。美術館本体はここから、山を越え、谷を越えた先にあり、そこへたどり着くためにはトンネルを抜け、橋を渡らなければいけない。そのトンネルと橋を通って、本館が目の前に出現するのを体験するだけでも、なかなかである。MOA美術館のトンネル同様、メタファーに満ちあふれた体験であり、大脳皮質の神経細胞が総動員される。
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