昨日の作品と、「オン」が抜けただけでこんなにも変わってしまうとは、何が違うかというと責任感である。こちらの「オン」がついてないほうの作品では、父親としての、善者（あるいは選ばれし者）としての責任感が強く描かれているのに対し、「オン」つきでは、すべての責任が放棄されており、対照的である。さて、「オン」つきの無責任男たちを、「オン」なしの過酷な物語に放り込むと、どう行動するのかというのは興味深い仮定である。生活力がなくて物語が始まる前に野垂れ死んでしまうというのが大方の予想かもしれないが、
さて、この作品、途中残酷な描写が見られるものの、私はそのあまりにも楽観的な結末に不安を感じた。人の情緒をさんざん掻き乱しておいて、状況は何ら変わってないにもかかわらず、選ばれし者の運の良さに下駄を預けるなんて。とても悲観的ではあるが現実的という点で、この作品とコインの裏表の関係にあるのが、W・ゴールディングの蠅の王。
つぎこそ、ディネセンで癒されよう
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