はじまりの記憶

2012年6月18日 映画
テクニックとセンスに満ちた芸術作品は人を黙らせる
ここで言う、テクニックとは美を再現する力であり、センスとは他の作品と識別される要素である。
テクニックだけでは心の無い写真と変わらず、センスだけではマスターベーションに成り下がる
もちろん、そのようなキッチュな作品が好まれるケースもあり、絶対に両者が必要だとは言えないが
両方があるにこしたことはない
この映画を見るまでよくわからなかったが、この人の作品は両者がバランスよく練り込まれており、芸術の王道と言えよう
こりゃ、ニューヨークの画壇で売れるわ
ただ、そのセンスが古今東西の借り物の知恵の上に立っており、それが鼻持ちならない

例えば、放電をフィルムに写し取り、無機的な電気で有機的な生物のようなパターンが形成されるのは不思議とあるが
有機体である生物は無機である元素でできており、それら無機物が進化のなかで決められた空間構造を保つことで、我々は生きている
福岡伸一流に言い換えると、分子がエントロピーを抑えた動的平衡状態にあるため、我々は生きている
無機と有機の二元論ではなく、有機は構造であり
放電により作られたフラクタル構造は擬似的な有機体に見えるかもしれないが、それはあくまでテクニックによる偽物でありセンスは芽生えない
彼の作品を見て、ずっと引っかかっていたことである

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