学際的テーマに倫理というものがある、具体的には妊婦に席を譲るという個人的なことから、アメリカの大統領が核のスイッチを押さないという社会的インパクトの大きなことまで、さらには世界環境が持続するための心得などかなり抽象的なものまで。親族間のささいな利他的行動が社会全体で共有する倫理とどう関係しているのかは興味深い。もちろん現実は厳しく、倫理を優先できない事情に出くわすことも多々あるが、長い目で見れば倫理に従うのも悪くないと、行動経済学は教えてくれる
この夏の安保法案をめぐる対立は、前の世代の歴史を繰り返させないと言う大きな倫理観と、変わりつつある現実の世界情勢に対応して何が悪いという自由主義の齟齬感だったのかなと

さて、本書は、歴史にもとづいた大きな倫理観を共感するためには話せばわかるを信条とする小熊英二の対談集
話してもわからないものはわからない、でも小さなベクトルは大きな歴史になれるかもしれないという東浩紀との対談が面白い
お互いの齟齬感を突き合いながら話を進めて行く二人の会話にわくわくする
もちろん齟齬感への明確な答が出てくるわけではなく、認識の共有が深まるだけなのだが、それでいいのだろう

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