雪の轍

2015年12月12日 日常
雪の轍
一昨年のカンヌでパルム・ドールを受賞した、上映時間三時間半のトルコ映画

小銭を持ってて学があると、人間ろくなことを考えない
小銭があり生活に困らない余裕派は、自分の内なる野性との葛藤についてタマネギの皮むきのように議論をくりかえすか、社会に満ちあふれた不条理を解決できると勘違いしたりするのがやっとである
もちろん、ほとんどの余裕派がタマネギの皮むきや失望で終わってしまうかもしれないが、偉大なる思想や偉大なる活動が出現することもあり、多くの小説や映画の題材になっているのはそんな偉大な人物である
しかし、世の中には偉大な人はわずかであり、その他多数の凡人で終わってしまう人々を描こうという酔狂なアイデアを考える人が現れる、それが二十世紀の新しい文学の始まりだったのかななどと考えていると、あっという間に過ぎた3時間半
あまのじゃくな私にとって、偉人よりも凡人の話のほうがおもしろい

アナ トリアとバルカン半島と場所は違えど、静かな雪原で狩りをするシーンは美しく、思わせぶりなテオ・アンゲロプロスの影を感じる

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