謎の天才画家 ヒエロニムス・ボス
美術作品は純粋に美的に鑑賞するだけでなく、その寓意や象徴に注目したり、時代背景を含めて社会史的に解釈したり、さらには科学的検査を通して顔料調べたり絵の下にある下絵をのぞいたり、美術史として鑑賞する道がある
初期フランドル派の異端の画家であるヒエロニムス・ボスほど美術史として鑑賞するのに適した画家はいないだろう。
日本で若冲が再評価されて熱いように、ヨーロッパでは初期フランドル派の再評価が熱いらしい。新大陸との交易が始まったこの時代、新たな社会層の発生や新大陸からもたらされる新しい見聞が、それまでのキリスト教的視線に、新たなワクワクする視線を加えたからである
この映画は、そんな15・6世紀のいけていた初期フランドル派の絵画の眼差し、それもかなりの偏りを持っていたと思われるボスの眼差しを再評価しようというドキュメンタリー映画である
小難しいことを書いているが、実に映画自体が小難しい
そんな眠りを誘う理屈っぽいシーンが続く中、現代の美の女王の一人であるルネ・フレミングの無邪気な眼差しにほっとさせられる。そのルネ・フレミングの無邪気さは日本のテレビに出ているデヴィ夫人そっくりなのだ。ぜひデヴィ夫人が出てくる若冲のドキュメンタリーを誰かに作ってもらいたい。

コメント

はにゃ。
2018年1月31日11:42

全然関係ないのですが、私が愛するアメリカの刑事小説の主人公の名前がヒエロニムス・ボッシュ、なのです。

マイクル・コナリーという作家が書いているボッシュ・シリーズという小説で、主人公は通常はハリー・ボッシュと名乗っていますが、フルネームを見せると(例えば身分証明書などを見せなくてはいけない羽目になると)、いつもいつも初めての人に「名前はどうやって発音するんだ?」と言われていますw

亡くなったお母さん(娼婦だった)がこの画家から名前を取って名付けたという設定なのですが。

そのおかげでずっと何となく親近感を勝手に持っている画家です。えへへ。

はち
2018年1月31日15:57

はにゃ。さんの読書日記、いつも楽しく読んでます
はにゃ。さん一押しのボッシュシリーズも、ここで知って好きになったシリーズ。大好きなホッパーの絵の題名が由来の「ナイト・ホークス」は特にお気に入り。
年末の日記にあったパトリック&アンジーシリーズにも挑戦して、ちょうど一昨日に読み終えたばかり、こちらは刺激がちょっと強すぎたかも。でもマイクル・コナリーの文体は嫌いではないので、ドラマ的要素の強い「運命の日」あたりを読んでみようかと思案中。おすすめは?

はにゃ。
2018年1月31日17:16

ルへインの『運命の日』は生憎読んでいないのですが、『夜に生きる』はなかなか良かったですよ。『ミスティック・リバー』は小説も映画もちょっと暗くて好みが分かれるかも。

パトリック&アンジーシリーズダメでしたかぁ。『愛しき者はすべて去りゆく』はシリーズの中でも結構読みやすいんじゃないかなぁ。『ゴーン・ベイビー・ゴーン』という原題のまま映画化もされていて、今ならNetflixで観れるみたいです。

はち
2018年1月31日22:24

オススメの「夜に生きる」はキンドル版も出ていて惹かれますね〜、でも先に出版された「運命の日」から読みたいような、悩ましい〜
ちなみに、パトリック&アンジーシリーズで読んだのはデビュー2作目の「闇よ、我が手を取りたまえ」、「愛しき者…」こちらも惹かれたんですよね
「ミスティック・リバー」、映画見たんだけど、重かったことだけ覚えてます(笑

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